里美を味わう

収穫の秋

こんにちは!長島です。

からんころん、と乾いた音が家の外から聴こえるので

カメラを持って出てみると

お隣のおうちが来週に控えた稲刈りのおだがけの準備をしていました。

 

(おだ木を田んぼへ運ぶ準備)

 

今年はだいぶ、収穫が早いみたい。

「急に涼しくなったからかなぁ」
「今年の夏はカーッと暑くなったもんね」

色んな説が飛び交いますが、里美の中でもすでに稲刈りを終えている田んぼもあって。

 

 

黄金色の秋の季節も

今年は足早に過ぎ去っていきそうです。

 

 

 

“おだがけ”とは、おだ木となる竹や木材を組んだものに、収穫し束ねた稲をかけ、稲を天日干しにするものです。
地域によっては“はざがけ”と呼ばれたり“はざがけ”と呼んだりします。

天日干しすることによって、
甘味が増し、美味しくなると言われています。

 

現に地域の人の多くが、
「おだがけのお米はうまいんだよなぁ」と言います。

 


(おだ木を立て、束ねた稲穂をかけていく)

 

 

まっすぐきちんと並んだおだがけ。
雨から守るよう、干した稲穂の上部にはビニールをかけます。
収穫⇒束ねられた稲穂をおだにかける⇒上からビニールで保護する

さらに、収穫の時はまた手作業ですべての稲をおだ木から降ろし、
脱穀機にかけていきます。

この一連の作業、とにかくすんごく重労働。

とにかくすんごーく、手間がかかる。

(里美の最北端、里川町のおだがけ風景)

 

20代の私が作業しても、
翌日には身体が思うように動かない程。
(何十年も農作業をしてきたおじいちゃんおばあちゃんの方が体力がありそう、というのは置いておいて・・・・)

 


(脱穀作業)

 

 

このおだがけの風景、里美ではまだ観ることができますが、
高齢化に伴って、やはりどんどん減っているのが現状です。

私が手伝いに行っていた80代の農家さんでも、
昨年あたりからは機械で刈取りするようになりました。

そう、現代では便利で早い機械があるのに、なんでこんな重労働をするのかな。
そして最近では、機械も高度化して、機械で刈って乾燥させても味は変わらない、という人もいます。

「なぜ、こんなにつらい作業を、毎年毎年、変わらず続けるのかな?」

 

 

これが私の問いでした。

 

 

そして、いろんな方の話を聴いたり、
毎年農家さんの様子を見たりして、分かったこと。

 

それは、

「土地に対する、無条件の責任感と、美味しいお米をたべさせてあげたい、という家族への愛情」でした。

 

 

先祖代々受け継いできた土地を、自分の代で終わらせるわけにはいかない、という責任感や使命感。
そして、昔ながらのやり方で作った美味しいお米が食べられるのを毎年待つ、
特に離れて暮らす息子や娘、孫たちの笑顔。

このふたつを胸に、
昔のようには動かない身体を使って、
毎年毎年、おだがけを続けて来ていたのでした。

 

そんな想いに触れながら食べる、里美のお米は絶品です。

 

そして
「米は作ってもお金にならないし、むしろ赤字のときだってあるよ」と話す、
地域の人たち。

そんな現状は、里美だけではないでしょう。

 

里美に来てから3年間は、その想いに触れ、里美のお米を何とか食べてもらいたい、と、
地域のお母さんたちと限定レストランをオープンしたり、
食文化に触れるツアーを企画して、お土産でお米を買ってもらえる仕掛けをしたり、
そんなことをしていました。

 

そして、
徐々に里美の“いいもの”を外に出していく体制が整いつつある今、
この、
「苦労してお米を作ってもお金にならない」という現状と

「先祖代々の土地を守りたい。自分の田んぼで作った美味しいお米を家族に食べさせたい」という想いを掛け合わせて、

 

昔ながらの風景をいつまでも観ることができたり、
少しでも負担を軽減させながら土地を守っていくことができる体制を、

これから作っていきたいと思っています。

 

この現状には多くの難題が壁となって立ちはだかっていますが、
「土地を守りたい。美味しいお米を作りたい」
そういう農家さんの想いに軸足を据えて、

寄り添う取り組みをしていきたいのです。

できることはほんのちょっとで、一歩一歩ですが。

(春を待つキャベツの赤ちゃん。冬に降る雪からその身を守るため、農家さんがひとつひとつ手作業で春待ちの準備をします。おだがけをしたことで確保できた藁の活用方法のひとつ。)

 

 

もうすぐ新米。
里美の秋は、豊かです。

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