とうじのおしえ
先日、しまってある当時の酒造用具を調査するために蔵の中二階に上がった時のことです。
柱に打ち付けてあった板にこんな文字が。
「櫂でつぶすな 麹で溶かせ」
酒造関係者なら一度は聴いたことのある言葉でしょう。
生酛系の酒母をつくる際に無理に櫂で蒸米をつぶさず、麹の糖化酵素でゆっくり蒸米を糖化させていくことで質の良い酒母ができるという、酒母づくりのワンポイントアドバイスのようなもの。杜氏が蔵人の気を引き締めるために書いたのでしょうか。
この言葉が、掲げてあるということはこの中二階で酒母をつくっていたことが予想されます。
酒造りにかける蔵人の想いが時を超えて伝わってくるような気がしました。
そんな蔵人たちの置き土産を今後どう展示していくか、これから地域の皆さんと考えていきたいと思います。